ンタルクリンックの外来には、実に様々な患者さんが来られます。統合失調症のような重大な病名の方もいれば、不眠症のような簡単な病名の方もおられます。

しかし、病気の重い軽いは、必ずしも病名で決まるものではなく、様々な要素を総合して評価されなければなりません。
そうした要素の一つとして、私が重視しているのが、「自立度」という尺度です。

もっとも、この現代社会において、完全に自立した人、すなわち、他の何者にも依存していない人などというものは、山奥の仙人でもなければ、存在するはずがありません。ですから、通常の意味で社会とうまく助け合って生きているというのは、何ら異常なことでも病的なことでもない、むしろ、普通の健康な人間のあり方といえましょう。

メンタルクリニックを訪れる患者さんたちは、こうした通常の他者依存から、一歩も二歩も依存の度合を高めた人たちです。

者さんは自らの存在基盤を危うくされ、悩める人、しばしばワラにもすがる思いの人として、医師のもとを訪れます。そして、医師の役割は、いかにして速やかに患者さんの自律性の回復を助長し、最終的に医師の助けを必要としない存在にさせるかということなのです。

つまり、医師は患者さんとの関わりの最初の瞬間から、お互いの関係を終結させることを目指して交渉を開始するような存在なのです。

したがって、間々見かけるように、患者さんの自律性を奪い、いつまでも自分に依存し続けるようにさせる治療は、医師の懐は潤すかもしれませんが、医師本来の役目からすれば、正しくないことになります。

さて、以上のような観点から、私は外来の患者さんを大まかに4段階に分けて考えています。

ステージ1:一定期間の治療の後、医療を必要としなくなり、医師のもとから卒業していく人たち。
ステージ2:医師と完全に縁を切ることはできないものの、定期的な通院、服薬をすれば、普通の生活を送れる人々。
ステージ3:上記に加え、定期的に長時間の精神療法を必要とする人々。
ステージ4:定期的な治療という枠に入れないで、時間やルールを守れず、不規則に診療を求めてくる人々。

師の目標はもちろん、患者さんをより高い自立の段階に引き上げることですが、これは必ずしもうまくいくとは限りません。

「医大前メンタルクリニイック」は、少なくとも目下のところ、カウンセラー等のマンパワーが不足しているため、ステージ3、ステージ4の患者さんたちへの対応は困難なことをご理解いただきたいと思います。