療内科・精神科の治療において、患者さんへの精神療法的な対応が重要であることは言うまでもありませんが、治療の柱となるのは、やはりお薬です。

統合失調症などで、ご本人に病識がなく、服薬を守らないような場合を別にすれば、私は患者さんの服薬に関しては、大幅な自由裁量をみとめています。(もちろん、上限は厳守) 

医師の中には、薬は自分の指示したとおりに飲まなければ、こけんにかかわるとばかりに、支配的に量を守らせようとする人がいますが、これは誤っていると思います。心療内科・精神科の場合、お薬を飲んでご本人が楽になることがもっとも重視されるべきで、その微妙なさじ加減は、患者さんご本人が一番よくわかるという面があるのです。こうして、患者さんの意見を尊重し、ともに治療に参加し、創意、工夫してもらうことは、彼らの自立性を高めることにもつながります。

の患者さんの中には、私の自由で柔軟なやり方の上を行き、「薬を一回、3分の1錠にしてみたら、よくあいました」と自分なりに新しい方式を編み出して、感心させられるような人もいます。

べて医者に従えといった権威的な姿勢からは、こうした境地はとうてい生まれることはないでしょう。一方、最近私のところに転医して来た、あるうつ病の患者さんは、東京の名門大学病院の教授にリーマスという強い薬を処方され、どんなに副作用の辛さを訴えても、まるで取り合ってもらえず、自己判断で中止したら、はるかに楽になったと言っていました。

うなると、独善的な専門家のガラクタな知識は、素人の常識の足元にも及ばないなどと言ってはいられない、恐ろしい精神科医療の退廃の現実が見えてきます。ちなみに、この教授先生の処方の全貌を点検してみると、まさに無秩序、無為無策を絵にかいたようなお粗末さでした。私がこの患者さんにした最初の仕事は、もちろん彼の判断を是認することでした。